おすすめの本「閉鎖病棟」の感想・レビュー!

こちらの記事では、おすすめの書籍「 閉鎖病棟」を紹介しています!

閉鎖病棟 」面白そうですよね。ただ読む前に他の人が読んだ感想を確認しておいた方が良いでしょう。

この記事では、「 閉鎖病棟 」を実際に読んだレビューを載せています。ぜひご覧ください!

おすすめの書籍: 閉鎖病棟

舞台はとある精神科病棟。

心と体に傷を負った者、生まれながらに頭に疾患を患っていた者、ある日突然精神疾患を発症し、普通の人生から転落してしまった者…そこでは様々な患者が共同生活をしています。

チュウさんもそのひとりで、学校に行けず通院している島崎さんや、耳が聞こえない昭八ちゃん、車いすの秀丸さんらと交流しながら生活していました。

しかし、ある日起きた凄惨な事件、そして院内で起こったひとつの殺人事件をきっかけに、不変と思われたチュウさんたちの生活が変わり始めます。

作者紹介:精神科医として開業・活動しながら執筆活動を続ける作家。

自身の職業を活かした、医学がテーマの作品を多く執筆しています。1990年に「賞の柩」で第3回日本推理サスペンス大賞佳作を受賞、本作で第8回山本周五郎賞を受賞。

おすすめの 閉鎖病棟 のレビュー①読んだきっかけ

私は元々、著者の別の作品「臓器農場」が気になっていて、ずっと探していました。

臓器農場は、臓器移植をテーマに描かれた医療サスペンス小説です。

私は小説・ドラマ問わず医療モノが好きで、何かいい医療小説は無いかとネットで検索をかけているときに、この作品を見つけたのでした。

しかし、臓器農場は1993年に出版された作品であり、私が本作を探し始めたのは2017年ごろですから、新品はもちろん中古でも探し出すのが困難で、諦めかけていました。

そんなとき、書店で見つけたのがこの「閉鎖病棟」という作品です。著者が同じで、医療小説ということでテーマもざっくり同じ、ということに惹かれ、書籍を手にとってみました。

医療小説は好きでも、精神科をテーマにした作品は読んだことがなく、あまり興味も持っていなかったので、書籍裏のあらすじを読んだ時点では、あまりワクワクしませんでした。

しかし、いざぱらぱらめくってみると、卓越した文章力によって、私は一瞬で作品の中に入り込まされました。

まだ視点主がどんな人かもわからない、顔も年齢も名前さえも知らないうちから、私は視点主と同じものを見、同じ感情を抱いたのです。

私はまるで初めからこの作品を探していたかのような気持ちになり、迷わず購入しました。

おすすめする 閉鎖病棟 のレビュー②お気に入りポイント・満足な点

序盤は、たったひとりで堕胎手術に挑まんとする少女、戦争から帰ってきた父の狂態を見守る男性、耳が聞こえないやや知恵遅れの青年、と、なんの接点もない3人の物語が、時系列も関係なく紡がれています。

しかし、目まぐるしいと感じたり、突然の視点変換に戸惑ったりといったことは不思議とありません。

それぞれの物語に、自然と入り込んでしまいます。

そして視点がチュウさんに移るとともに、舞台である精神科病棟で彼らの姿を目にすると、納得するとともに、どうしようもなく切ない気持ちになります。

この作品は、文章力が本当に卓越していて、読んでいると自然に頭の中に情景が浮かびます。

文字を読んだだけのはずなのに、まるで映像作品を見たかのように、情景が実写映像として記憶に残るのです。

また、静かで淡々とした語り口なのに、驚くほど感情が揺さぶられる場面も多く、特にクライマックスでの叫びのシーンは何度読んでも声が抑えられないくらいむせび泣いてしまいます。

私はこの作品の表紙も好きなのですが、読み終わってから見るとさらに良く、読後の余韻に浸りながらいつまでも眺めてしまいます。

まさに、この閉鎖病棟という作品を表すのにふさわしい表紙だと思います。

閉鎖病棟 レビュー③不満だった点

この作品に対して不満な点が全く思い浮かばず、考えるのに苦労します。

不満な点を挙げるとすれば、閉鎖病棟で登場する患者の数がやや多いので、名前(もしくはあだ名)と、その人がどんな人かを覚え、一致させるのに少し苦労することくらいでしょうか。

しかし、幸か不幸かみな特徴的な容姿や症状を抱えているので、一般的な作品に比べ、頭に入りやすいかと思います。

また、ハッピーエンド好きの人が読んだら、この作品の顛末に対してやや不満を抱くかもしれません。

個人的には、本編には改善してほしい点は全く思い浮かばないのですが、巻末の解説だけは改善してほしいと少し思います。

興味を惹かれる出だしではなく、頑張って読み進めても小難しいことばかりが書いてあって、しかもなかなか本題に入らず、結局何を言わんとしているのかよく分からないので、別の解説を読んでみたいです。

また、仮定の話をするならば、私はこの作品のことが表紙も含めて大好きで、閉鎖的な場所から見上げる空、小さく囲われて見える空を飛ぶ鳥、というこの表紙の絵も含めて「閉鎖病棟」という作品だと思っているので、実写映画化を期に本作が再版された際、表紙が現代風に変わっていたりしたら非常に憤りを覚えるだろうなと思います。

まとめ

購入したきっかけ・理由や実際に使用した感想についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。

ぜひこちらの感想も踏まえて読んで見ることを検討して見て下さい!