おすすめの本「無言の旅人 」の感想・レビュー!

こちらの記事では、おすすめの書籍「無言の旅人 」を紹介しています!

無言の旅人 」面白そうですよね。ただ読む前に他の人が読んだ感想を確認しておいた方が良いでしょう。

この記事では、「無言の旅人 」を実際に読んだレビューを載せています。ぜひご覧ください!

おすすめの書籍: 無言の旅人

公子の婚約者・三島耕一が事故に遭い、意識不明になった。

そして、独り暮らしだった耕一の自宅から、尊厳死の要望書が見つかる。延命処置を拒否するという内容に、公子や三島家の人々は動揺する。

要望書の件はひとまず先延ばしにし、耕一の見舞いや、耕一の心情について考えている間、公子や三島家の間でも、要望書の通りにすべきだ、という考えと、要望書は破棄して少しでも長く耕一を生かすべきだ、という考えで激しく対立し始める。

そして要望書に関する調査や話し合いの末、公子と三島家が決断を下したとき、耕一の身に異変が生じる。

作者は大学で主にバイオテクノロジーの研究をしたのち、日本経済新聞社に入社、記者として医療技術・介護の分野を担当する。

「感染」で第1回小学館文庫小説賞を受賞し小説家デビュー。2006年以降は執筆業に専念し、医療系のミステリ・サスペンスを中心に執筆を続けている。

おすすめの 無言の旅人 のレビュー①読んだきっかけ

私は小説・ドラマ問わず医療モノが好きで、また小説はネットではなく書店で見つけてこそ面白いと思っていました。

しかしその反面、どの書店でも本を置くスペースが縮小されている昨今、自分だけでお気に入りの小説を発掘するには限度があるとも思っていました。

そこで、ふと思いついて「医療小説、おすすめ」でネット検索をかけてみました。

そしてヒットしたページの中に、この作品の名前が挙げられていたのです。なぜ、たくさんあったおすすめ作品の中から本作を選んだのかというと、「尊厳死」というテーマが現代的かつ生々しく、もしこの作品が自分に合う作品だったら、きっと自分にとって忘れられない作品になるだろうと予感したからです。

個人的には尊厳死賛成派なのですが、賛成という考えだけを持っていて良いのだろうか、もっといろいろな考え方を取り込んでおいて損はないのではないだろうか、とも思いました。

そうした考えを、読む前から抱けたことが、数ある医療小説の中からこの作品を選び取った大きな理由です。

また、この作品のあらすじに「医療ミステリ」という文言があることにも惹かれました。私は医療小説もミステリ作品も好きなので、まさに自分にぴったりな作品なのではないかと思いました。

おすすめする 無言の旅人 のレビュー②お気に入りポイント・満足な点

尊厳死というテーマに対して、反対派から段々と賛成派に意見を変えていく主人公をはじめ、うっすら賛成の意を示しつつも決断できない耕一の父、断固反対派の耕一の母…と、三者三様の視点を通して見られるところが良かったです。

こういうテーマに対して、視点がひとつだけだとどうしても視点の主に思考が引っ張られ、意見が傾きがちですが、三人が三人とも別の考え方を持っているおかげで、このテーマをある程度俯瞰して見ることができました。

また、耕一の尊厳死に対して肯定的でありながら、自分に発言権は無い、と自分の気持ちを押し殺していた耕一の妹の存在が、物語をより深く見せています。

そして意外だったのは、耕一を見る医師の中でも、尊厳死に対して肯定的な意見・否定的な意見でばっくり割れていたことです。

私は、耕一の家族や耕一と親しい主人公等との間で意見の対立が起きることは予想していましたが、まさか医師の間でもそれが起こるとは思っておらず、動揺してしまいました。

しかし、考えてみれば医師も人間なのですから、意見の相違があって当然です。そのことにも改めて気づかされました。

この物語の語り部として、尊厳死反対派である医師の一人が組み込まれていることにも驚きました。

無言の旅人のレビュー③不満だった点

尊厳死について、最初みなが反対派だったことに違和感を抱きました。

皆がだんだんと尊厳死を受け入れていくというストーリーなので、仕方がないとはいえ、誰も植物状態になってしまった患者本人の気持ちには寄り添ってあげないのか、患者と自分を置き換えたとき、自然のままに死なせてほしいと感じる人はいないのか、ともやもやしました。

最終的に、耕一の妹は元々賛成派に強く傾いていたことが分かり、耕一の父も元々やや賛成派、そして主人公・公子も賛成派になりましたが、あまりもやもやは晴れませんでした。

耕一の母が、取り乱したすえに公子を悪者にするシーンは王道的で、人間の心理としては割と自然だとも思いましたが、そのことについて(少なくとも作品内では)公子にこれといった謝罪もせず、やや険悪なまま物語の幕が下ろされたことにも少々もやっと感が残ります。

公子に救いがあってほしいと思う反面、最後、耕一の遺品であるパソコンの中から、最後の謎が紐解かれるメールの下書きが出てきましたが、その内容は公子にとって都合がよすぎる(すっきりしすぎる)ように感じ、それはそれで少し違和感を覚えました。

このテーマの作品で、みながスッキリすることなどあり得ないとは思いますが、なにかもう一声、良い展開がなかっただろうかと思ってしまいます。

まとめ

購入したきっかけ・理由や実際に使用した感想についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。

ぜひこちらの感想も踏まえて読んで見ることを検討して見て下さい!