こちらの記事では、書籍「三四郎」を紹介しています!
三四郎は説明不要の大文豪、夏目漱石が描いた名作です。1909年の本著ですが、いまなお語りつがれ、現代人の心にも深く訴える作品です。
まだ読んだことが無くて気になっている方はぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか?
以下、読んだレビューを書いています。ぜひご覧ください!
おすすめの書籍:三四郎
言わずと知れた夏目漱石による名作です。本作は1908年に朝日新聞にて連載された同タイトルの小説をまとめて刊行したものとなっております。
一般的な教養小説にあらず、現代人の心にも深く訴えかける作品です。また本作は『それから』『門』へと続く、漱石中期の三部作の第一作目でもあります。
九州の田舎(おそらく福岡か熊本?)から東京大学へ上京した主人公、小川三四郎は真面目で堅物な23歳の学生です。
その真面目具合といったら、たまたま夜行列車に乗り合わせ、宿も部屋も同じになってしまった女性に対して気を遣うあまり「よっぽど度胸のない方ですね」と言われるほどでした。
さて、大学をぶらぶらしていた三四郎ですが、ある日、大学構内の池のほとりで見かけた里見美禰子(さとみ みねこ)に一目惚れします。
しかし恋愛に全くもって疎い三四郎は自分の感情に気づくことすらありませんでした。
やがて三四郎は友人の佐々木与次郎(ささき よじろう)や、教師の野々宮宗八(ののみや そうはち)、与次郎が敬愛する広田(ひろた)先生、そして美禰子との関係に巻き込まれながら、東京で人間的な成長を遂げていきます。
その過程を語ろうとすると物語全般に言及しなければならないので、是非とも実際に作品を手に取ってみてください。
夏目漱石は言わずと知れた日本の小説家、英文学者です。イギリス留学で神経衰弱を患い帰国した後に、作家として文壇に名を挙げるようになります。
人生をゆったりと眺める「余裕派」と言われるスタイルから、晩年はエゴイズムに目を向けた作品を執筆しました。
『三四郎』の他に、『吾輩は猫である』『こころ』『坊ちゃん』などの長編小説や、『夢十夜』などの短編小説を遺しています。1916年に胃潰瘍で亡くなりました。
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三四郎 レビュー①読んだきっかけ
私がこの書籍を手に取ったきっかけは、高校の授業で『こころ』を読んだことにあります。
皆さんの中にも高校の現代文の授業で『こころ』を取り扱った経験があるというかたは多数いらっしゃるでしょう。
私も同じように高校の授業で初めて本格的に漱石作品を読み、以降彼の作品を読むようになりました。
『三四郎』を買ったのは比較的最近のことで(お恥ずかしいことですが)、三部作の第一作目ということや、中学校で国語の教員をしている母からの勧めもあり、夏休み前に大学生協の書店にて購入いたしました。
それまで読んでいた漱石の作品が『虞美人草』『こころ』『吾輩は猫である』などの難解なものであったということもあり、手に取るには少し勇気が要りました。
また、高校で触れてから今に至るまでの約3年半の間、読もう読もうと思いつつ読まなかったということもありましたため、「今更手に取るのもなあ……」という謎の意地が働きつつあったのも覚えています(汗)。
とはいえ最終的に手に取った訳ですが。さて、この作品ですが、岩波文庫版、新潮文庫版、集英社文庫版などいくつかの出版社によるバージョンがあります。個人的には新潮文庫版をお勧めしたいと思います。
三四郎と美禰子を暗示するような浮世絵風イラストと、新潮文庫ならではの紐の栞が付いていることが個人的に好印象でした。
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三四郎 のレビュー②お気に入りポイント・満足な点
『三四郎』のおすすめポイントはやはり、主人公の三四郎の成長過程が「一見わからないように」描かれているところにあります。
初めて女性として見ることになる美禰子との関係、まさに「悪友」の与次郎との金銭のやりとり、与次郎が師と仰ぐ広田先生の人生哲学、画家の原口、研究に実を粉にする野々宮、そして実家から送られる手紙としての母の存在―ーこれらの多種多様な人間は、都会でなくては飛び込むことは出来ません。
また、菊人形の見物や絵画の展覧会といった非常に水準の高い文化も、田舎の九州では決して味わえなかったでしょう。
これらの新鮮な体験を通して、三四郎は成長していくのです。そして、その成長は我々現代人にも、とくに青少年、学生の皆様にも通ずるものがあります。
20前後、特にモラトリアムと称される年齢層は近代以降になって形成された概念ですから、明治の新時代に青年が抱えた悩みは非常に取り扱いにくいものだったでしょう。
「自分はどのような人間か」「社会とは何か」「社会の中で自分はどのように生きていくべきか」そして「色とは違う、精神的な『愛』とは何か」。
これらの様々な主題を複雑に絡ませながら、しかも爽やかな作風で語りかけてきます。
三四郎 のレビュー③不満だった点
と、ここまで様々な点から本作について述べてきたわけですが、やはりそれでも気に入らない点がいくつかあることは確かです。
私はあまり書籍について「ここが気に入らない」ということはしたくないのですが、敢えて軽く述べさせていただきたいと思います。
さて、第一に装幀です。今回は私が所持している岩波文庫版について述べさせていただきます。
私が新潮文庫版をお勧めすることにもつながるのですが、表紙が大きく異なります。
勿論岩波文庫版の表紙は所謂「厳か」「真面目」の雰囲気を全面に押し出しているのですが、象形文字や金文を用いたようなデザインが用いられています。
それが教養性を表しているとでも言えるのでしょうが、逆に言うとそれによって敷居の高さが増しているようにも思われます。
一方の新潮文庫版は二人の男女が描かれているため、主人公としての二人の関係をイメージしやすいでしょう。
続いては栞の有無。これはもう岩波文庫全てにいえることですが。栞のあるなしは非常に読書に影響します。
別個の栞を挟めばいいじゃないかというかたの声が聞こえてきますが、落ちてしまうんですね、これが。ということでやはり、栞の有無も上げさせていただきました。
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三四郎
まとめ
購入したきっかけ・理由や実際に使用した感想についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
見てきた通り、特徴は以下の通りです。
- 夏目漱石による不朽の名作!
- 現代人の心に深く訴える素晴らしい作品!
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