こちらの記事では、書籍「嘘ばっかり」を紹介しています!
本作品は、イギリスのジェフリー・アーチャーによる短編集です。
ジェフェリー・アーチャーは異色の経歴の持ち主で、波乱万丈の人生を送っています。
英国の下院に議員として最年少当選した後、投資詐欺に合います。その経験をもとに書いた小説が大ヒットで詐欺で負った借金を返しました。
その後、裁判における偽証罪で入った刑務所で聞いた話を元に書いた小説がベストセラーになり、一躍人気作家の仲間入りしました。
そんなユニークな経歴を持つ著者の短編集が本作です!
以下、読んだレビューを書いています。ぜひご覧ください!
おすすめの書籍:嘘ばっかり
「嘘ばっかり」は2018年の8月29日に、新潮文庫から戸田裕之によって翻訳刊行されました。
著者のジェフリー・アーチャーは1940年生まれのイギリス・ロンドン出身で、オックスフォード大学を卒業後に庶民院議員になります。
史上最年少の国会議員として下院入りしますが、詐欺被害に遭って全財産を失い議員辞職せざるを得ません。
その時の体験からインスパイアされた処女作が、1976年にジョナサンケープ社から発行されている「百万ドルをとり返せ!」です。
インチキ石油会社の投資話に引っ掛かった4人の逆襲をテーマにしたコン・ゲーム小説で、この本の印税で借金を全額返済しました。
懲りない著者はロンドン市長選に立候補しますが、自身のスキャンダルを巡る裁判での偽証罪によって有罪判決を受けてしまいます。
禁固4年の刑のうちの2年間をロンドン郊外のベルマーシュ刑務所で務め上げた後、保護観察処分を勝ち取ったのは2003年7月のことです。
服役期間中に毎日つけていた日記を「獄中記」3部作として世に送り出すと、発売と同時にミリオンセラーとなりました。
同房の受刑者たちから聞いた話を、次回作「プリズン・ストーリー」のネタにしてしまうなど転んでもただでは起きません。
本作品はジェフリー・アーチャーにとっては7冊目の作品集になり、15編のバラエティー豊かな短編小説が収められています。
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嘘ばっかり のレビュー①読んだきっかけ
ある時にフラりと自宅を出て、海外を放浪していたというジェフリー・アーチャーのその後が気になっていました。
ケンブリッジ州の小さな田舎町・グランチェスターから出発して、イギリスとは19世紀の植民地時代から繋がりがあるインドのコルカタへ。
遥々と海を越えてニュージーランド南島のクライストチャーチを経由して、終着点の南アフリカの首都・ケープタウンまで。
この短編集は著者が4つの国を旅行している間に出会った、現地の人たちから教えてもらった話が元になっています。
物語の舞台となるのはヨーロッパやアメリカのみならず、アジアの小国にオセアニア地方と実に国際色豊かです。
放浪癖があってショートストーリーの名手と言えば、アーチャーと同国人のロアルド・ダールが真っ先に思い浮かびます。
日本でもジョニー・デップの主演で大ヒットした映画、「チャーリーとチョコレート工場」の原作者として有名なのではないでしょうか。
優等生タイプのダールよりも、何かにつけて叩かれたり持ち上げられたりと浮き沈みの激しいアーチャー作品に親近感を覚えたのが決め手です。
エキュートという駅構内にある書店コーナーの棚で見かけたために、2019年の10月13日に購入しておきました。
外国の紙幣と地球儀がプリントアウトされたブックカバーが美しく、旅の気分を盛り挙げるにはピッタリで満足しています。
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嘘ばっかり のレビュー②お気に入りポイント・満足な点
切手の収集家が自らのコレクションの価値を高めるために、奇想天外な手段に打ってでる「唯一無二」から幕を開けていきます。
オークションやディーラーに纏わるこぼれ話や蘊蓄が味わい深く、思わずコレクター心理をくすぐられるはずです。
毎週金曜日の夜に集まってポーカーをすることを30年続けている、4人の男たちを主人公にした「最後の懺悔」も名作でした。
弁護士から銀行会長に校長、医学博士とエリート揃いの4人ですが少しずつその本性が暴き出されていく展開に手に汗握ります。
容疑者リストに51人の町人の名前がピックアップされていく、「だれが町長を殺したか?」は異色の推理小説です。
イタリア・カンパニア州の風光明媚な町で発生した殺人事件の犯人を、名探偵になったつもりで突き止めて下さい。
定年後の生活に時間を持て余していた初老の夫婦が、ふとした瞬間から道を踏み外していく「生涯の休日」が圧巻です。
A、B、C、と3通りのエンディングが用意されていて、30~40代の皆さんは子供の頃に流行ったゲームブックを思い出すでしょう。
最も短いものだと僅かに2ページのショートショート、いちばん長い作品でも70ページほどの分量しかありません。
旅行先の電車の中でほっと一息ついてみたい時や、飛行機の搭乗時刻までの待ち時間に手に取ってみるには最適な1冊ですよ。
嘘ばっかりレビュー③不満だった点
満足できない点を敢えて指摘するとするならば、本書を締めくくる「完全殺人」というタイトルの短編に関してです。
ハードカバー版では14編しか収録されていなかった本短編集に、コンテスト用に出品する予定のものを付け加えられました。
イギリスの陪審員制度の盲点を付いたミステリーで、起訴から裁判に収監まで経験済みの著者でしか書けません。
事件発生から容疑者の逮捕に至って、判決が下るまでの一連の流れも綿密なリサーチによってリアリティー溢れています。
オチが著者の2冊目の短編集、「12の意外な結末」の中の1編と全く同じだったと分かった時にはガッカリです。
同じテーマを扱うにしても常に新たな切り口を読者から求められるのは、ストーリーテラーとしての宿命でしょう。
巻末には最新作「運命のコイン」の予告編として、50ページ前後になる本編の第1章がそっくりそのまま掲載されていました。
スターリンに支配されたレニングラードを、ひとりの青年が自由を求めて脱出する痛快な冒険文学に仕上がっています。
新作を待ち望んでいる熱心なファンからすると有難いかもしれませんが、この本で初めてアーチャーの名前を知った方にはお勧め出来ません。
どうせならば短編バージョンにアレンジしたものや前日譚を載せてみるなど、幅広い読者層が楽しめるものにして欲しかったです。
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まとめ
購入したきっかけ・理由や実際に使用した感想についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
見てきた通り、特徴は以下の通りです。
- 波乱万丈の人生を歩んだジェフェリー・アーチャーの短編集!
- 短編集で、旅行中の待ち時間に読んで気分を盛り上げるのにぴったり!
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