Amazonでおすすめの本「テースト・オブ・苦虫〈1〉」の感想!

こちらの記事では、おすすめの書籍「 テースト・オブ・苦虫〈1〉 」を紹介しています!

テースト・オブ・苦虫〈1〉 」面白そうですよね。ただ読む前に他の人が読んだ感想を確認しておいた方が良いでしょう。

この記事では、「 テースト・オブ・苦虫〈1〉 」を実際に読んだレビューを載せています。ぜひご覧ください!

おすすめの書籍: テースト・オブ・苦虫〈1〉

「テースト・オブ・苦虫〈1〉」は2002年11月1日に、中央公論新社から刊行されました。著者の町田康は1962年の1月15日に大阪府で生まれて、高校生の頃からミュージシャンとして活動をスタートします。

パンク歌手として「町田町蔵」の芸名でファーストアルバム「メシ喰うな!」を発表したのは、高校を卒業した直後の若干19歳の頃です。

俳優としても石井岳龍監督の映画「爆裂都市 BURST CITY」や、若松孝二監督作「Endless Waltz エンドレス・ワルツ」に出演しました。

パンク小説と銘打った処女作「くっすん大黒」を1996年に発表して、Bunkamura ドゥマゴ文学賞に輝きます。

嫉妬心に捕らわれた売れない画家が不条理な世界へと迷い込んでいく「きれぎれ」で、芥川賞を獲得したのは2000年のことです。

ペット愛好家としても有名で、野良猫の保護活動や飼い猫との日々を綴った随筆集「猫にかまけて」を発表しています。

詩人としても2001年に「土間の四十八滝」で萩原朔太郎賞を受賞するなど、チャレンジ精神は衰えることはありません。

本作は週刊誌「読売ウィークリー」に2001年から連載されていたものを、2010年までに全8巻で単行本化しました。

日常に潜む些細な違和感や不平不満な出来事などに、ひと味違った視点から斬り込んでいくエッセイ集です。

おすすめの テースト・オブ・苦虫〈1〉 レビュー①読んだきっかけ

ありきたりな文学者の日記や旅行記ではなくて、気軽に手に取ることが出来るようなエッセイを前々から探していました。

パンクバンドのボーカリストから映画俳優を経て文壇デビューを果たした著者の名前は、以前から聞いたことがあります。

もともとはミュージシャンで小説家に転身した鬼才としてもうひとり思い浮かんだのは、三島由紀夫賞受賞作家の中原昌也です。

河出書房新社から発行されている「虐殺ソングブックremix」では、ふたりのコラボレーションが実現していて縁がありますね。

「中原昌也作業日誌 2004→2007」には、マイナーな映画やCDの名前を延々と並べ立てた不思議な1冊として心惹かれました。

徹底的に読者を突き放した中原版よりも、毒舌の中にもほんのりとした優しさが隠されている町田作品の方が読んでみたくなります。

単行本よりもリーズナブルな価格の文庫バージョンを街中の新刊書店で見つけて購入したのは、2019年の8月3日のことです。

デザイナーの石川絢士が装丁を手掛けているブックカバーも、シュールで独特な味わいがあって気に入りました。

慌ただしく流れていく無味乾燥な日々に潤いが欲しくなってしまった時には、パラパラと捲りながら楽しんでいます。

おすすめする テースト・オブ・苦虫〈1〉 のレビュー②お気に入りポイント・満足な点

筆者が生まれ育った大阪府堺市周辺の特徴的なイントネーションが、文章の中に生き生きと織り込まれていました。

物語を組み立てていく文章的な表現と、日常的な話し言葉とリズム感を大切にした音楽的な表現を融合させていきます。

地球規模で進行していく環境破壊のような壮大なテーマから、国際情勢やタイムリーな社会問題への考察が鋭いです。

その一方では近所のスーパーマーケットで遭遇した事件など、身近な出来事も盛り込まれていて読み手を飽きさせません。

そんな著者のもとに次から次へと無理難題を持ち込んでくるのは、ひと癖もふた癖もある昔の仕事仲間たちです。

聞いたこともないようなグループの新曲に歌詞を付けて欲しい、とにかく何かをやって欲しい、その内容についてはそちらで考えて欲しい。

不愉快かつ非常識極まりない依頼人に対しても、あくまでも誠心誠意に対応する著者の謙虚さには頭が下がります。

会社勤めのサラリーマンであれ、フリーの身である小説家であれ世の中の理不尽さと戦っているのは同じなのでしょう。

自分自身の仕事にプライドを持って、愚痴を溢すことなくやるべきことにしっかりと取り組むことを学びました。

いま現在のポジションに不満を抱いている方たちや、ルーティンワークにお疲れ気味な皆さんは是非読んでみて下さい。

テースト・オブ・苦虫〈1〉 レビュー③不満だった点

いまひとつ物足りない点があるとすれば、「私の創作作法」という小見出しが付けられた一文についてでしょうか。

小説に関しては原稿用紙に手書きというスタイルを貫き通しているところが、如何にも昔堅気で共感できました。

持ち味が筆記用具を通じて紙にまで染み渡ることで、始めて魂の入った文章になるという主張が職人気質ですね。

ところが本作品は出版社の担当者の都合もあって、パソコンを使って仕上げたと本文中で明かされた時には拍子抜けしてしまいます。

どうせならば出版業界や時代の流れに逆らうかのように、最後の最後まで手書き原稿にこだわり抜いて欲しかったです。

朝起きてから夜眠るまでの1日の流れが事細かに描かれていて作家という職業の知られていない一面を垣間見ることが出来ました。

午前中はひたすら机に向かって執筆に明け暮れて、午後からは打ち合わせやインタビューに取材もこなし、夜は午後9時には就寝。終始一貫して健康的で淡々とした描写に落ち着いてしまい、著者の人となりや生活感はいまいち伝わってきません。

如何にして作家となったのかというターニングポイントについて、熱く語ってみるとより一層面白くなったと思います。

テレビを殆んど見ることなく膨大な時間を読書に費やしているという著者の、愛読書についてももう少し詳しく知りたかったです。

まとめ

購入したきっかけ・理由や実際に使用した感想についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。

ぜひこちらの感想も踏まえて読んで見ることを検討して見て下さい!