Amazon Kindleおすすめの本「文学部唯野教授」のレビュー・評判!

こちらの記事では、Amazon Kindleおすすめの書籍「文学部唯野教授」を紹介しています!

文学部唯野教授」面白そうですよね。ただ読む前に他の人が読んだ感想を確認しておいた方が良いでしょう。

この記事では、「文学部唯野教授」を実際に読んだレビューを載せています。ぜひご覧ください!

Amazon Kindleおすすめの書籍:文学部唯野教授

「文学部唯野教授」です。1990年の1月26日に岩波書店から刊行されていて、東販調べによる1990年の年間ベストセラーでは単行本・文芸部門の第7位にランクインしました。

著者の筒井康隆は1934年の9月24日に大阪市北堀江で生まれて、幼稚園の頃から田河水泡の「のらくろ」や宮尾しげをなどの長篇マンガに親しんでいます。

中学生時代には学級新聞に四コマまんがを投稿したり卒業式風景のパノラマ漫画を描いたりしていますが、大阪府立春日丘高等学校に入学したあたりから演劇部の部長を勤めたりデザイナーに憧れたりと興味の対象はひとつに定まりません。

同志社大学文学部文化学科で心理学を専攻して、卒業後に就職した先は商業デザインを手掛けている会社です。

仕事の合間に「SFマガジン」や「メンズ・クラブ」に実験的なショートショートを連載するかたわら、「オール讀物」や「別冊文藝春秋」といった純文学雑誌にもチャレンジするようになります。

1987年から89年にかけて「季刊へるめす」に掲載された後に単行本化された本作品は、大学教授たちの通俗さを笑い飛ばす一方で文学とは何かを追い求めていく風刺文学です。

▼以下のリンクからAmazon Kindleのページに飛びます▼
文学部唯野教授

Amazon Kindleおすすめの文学部唯野教授のレビュー①読んだきっかけ

情報経営イノベーション学部や国際コミュニケーション学部といった派手な学部名が学生たちに人気を集めている今の時代に、あえて昔ながらの文学部にスポットライトを当てているこの小説に惹かれました。

大学を舞台にした小説といえば、奥泉光によって2011年5月に出版されている「桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活」が真っ先に思い浮かんできます。

2012年には佐藤隆太の主演によってテレビドラマ化もされていて、「クワコー」のニックネームも一躍有名になりましたね。

華やかな女子大学生たちに囲まれながら優雅に日常の謎を解き明かしていく奥泉作品よりも、陰謀渦巻くキャンパスの中を風変わりな教授が跋扈する筒井版に魅力を感じたのが決め手です。

ハードカバー版は残念ながら今現在では絶版となっていたために、リーズナブルな価格の文庫バージョンを2019年の11月13日に大手インターネット通販サイトで購入しました。

一面真っ白な表紙に左右対称のえんじ色で紋章がプリントされたデザインは、いかにも大学の文学部で配布されるテキストのようでいい雰囲気を醸し出しています。

第1講の印象批判から第9講のポスト構造主義まで分けられている目次も見やすく、唯野教授の講義を受ける準備はバッチリです。

Amazon Kindleおすすめする文学部唯野教授のレビュー②お気に入りポイント・満足な点

やたらとエネルギッシュで軽薄な言葉をポンポン吐き出す主人公・唯野は、およそ一流大学のお堅い文学部教授には見えません。

ようやく講師から教授の肩書きを手にしたばかりの若手のホープですが、研究よりも学内政治を重視する学科主任に睨まれてしまうのがほろ苦いです。

理事会や理事長が圧倒的な権力を握っている株式会社のような大学、学部長や教授会が幅を利かせている象牙の塔のような大学。

古くから受け継がれてきた組織内のシステムや不条理な上下関係によって、優秀な人材や個性的な才能が押し潰されてしまうことも伝わってきました。

アカデミックハラスメントという言葉が社会問題になる20年以上前に、いち早く名門大学の閉塞性を指摘している著者の先見の明には驚かされます。

そんな息苦しい締め付けからの脱出を模索していくかのように、大学での職務と平行して密かに執筆活動をスタートさせてしまう唯野の破天荒さが痛快です。

思い描いていたキャンパスライフとのギャップにがっかりしている新入生や、就職活動に行き詰まりを覚えている3~4年生は是非ともこの本を手に取ってみて下さい。

出版業界に憧れている皆さまや、文筆業で身をたてることを志している方たちにもお勧めします。

▼以下のリンクからAmazon Kindleのページに飛びます▼
文学部唯野教授

Amazon Kindle文学部唯野教授のレビュー③不満だった点

不満な点があるとすれば、唯野教授の日常生活や人間関係が延々と綴られていくところでしょうか。

立ち見や教室内に入りきらずに廊下にはみ出す学生がいるくらいに賑わいをみせて、よその学部生までが押し掛けてくるほど人気な唯野の授業風景には確かに引き込まれてしまいました。

その分だけ講義が始まるまでの描写にはいささか気だるさが漂っていて、せっかくの唯野のキャラクターも上手く活かされていません。

きっかり12分遅れて始まり12分早く終わるという唯野の講義の中には、古今東西のありとあらゆる小説家や文芸作品に纏わる固有名詞が乱出して戸惑ってしまいます。

枠外には簡単な脚注が附属していますが、単行本サイズならともかく文庫本では文字が小さくて見にくいのも難点のひとつです。

どうせならば巻末にまとめて解説書のようなページを設けて、とことん詳しく説明してもらえると有りがたいと思いました。

本作の中には1970年代の前半から80年代後半にかけてアメリカから日本へと持ち込まれた、ある難病の感染者が登場します。

著者お得意のブラックユーモアたっぷりとした展開が終盤には待ち受けていますが、今のご時世から考えてみるとさすがに不謹慎かもしれません。

まとめ

購入したきっかけ・理由や実際に使用した感想についてご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。

ぜひこちらの感想も踏まえて読んで見ることを検討して見て下さい!

▼以下のリンクからAmazon Kindleのページに飛びます▼
文学部唯野教授